新聞・雑誌等でみるロシア・CIS諸国の政治経済(愚考集)


by nekra
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メディア規制改正案の審議打ち切り

6月8日付『産経新聞』によれば、
(メディア法修正案の審議について)下院は4月下旬、圧倒的多数の賛成票で第一読会を通過させたものの、与党(法案を提出した「統一ロシア」)は5月19日になって、一方的に法案を取り下げた。リベラル派とされるメドヴェージェフ氏が法案への拒否権を発動する動きを察知し、プーチン氏に傷がつくのを事前に避けた公算が大きい。
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by nekra | 2008-06-09 10:49
 ロシア:軍参謀総長を更迭 改革めぐり国防相と対立
 【モスクワ大木俊治】ロシアのメドベージェフ大統領は3日、バルエフスキー軍参謀総長(61)を解任し、後任にマカロフ国防次官兼軍備局長(58)を任命した。バルエフスキー氏は組織の効率化など政権が進める軍改革をめぐり、セルジュコフ国防相との対立が伝えられていた。
 バルエフスキー氏はこれまで、米ミサイル防衛システムの東欧配備や北大西洋条約機構(NATO)拡大に反対してきた対欧米強硬派。参謀総長の交代が今後のロシアの外交・安保政策に変化をもたらす可能性もある。
 大統領は同日、参謀総長の交代を通告した。解任されたバルエフスキー氏は安全保障会議の副書記に任命されたが、実権の少ない名目的なポストで、事実上の更迭とみられる。

 (2008年6月4日『毎日新聞』、
 http://mainichi.jp/select/world/news/20080604ddm007030083000c.html

 バルエフスキー氏は、セルジュコフ国防相が打ち出した軍資産売却や国防省・軍参謀本部の人員削減、海軍司令部のサンクトペテルブルク移転などの軍改革案に反対。3月には辞表を提出したとロシアメディアが一斉に報道する事態になったが、国防省側は否定していた
 軍部の内紛にメドベージェフ大統領の対応が注目されていたが、バルエフスキー氏を実権の少ない安保会議に異動させることで収拾を図った格好だ。後任の参謀総長にはセルジュコフ国防相が推薦したマカロフ国防次官を起用した。

 (モスクワ3日時事:2008/06/03-20:42 軍参謀総長を更迭=内紛収拾でロシア大統領:http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008060300967、及びイタル・タス通信http://www.itar-tass.com/eng/level2.html?NewsID=12741513&PageNum=0

 バルエフスキーは今年に入り、セルジュコフ国防相との対立を思わせるような不規則な言動も目立ってきていた。例えば「核先制使用論」、「2プラス2会議」欠席事件、「辞任騒動」である。

 2008年1月19日、バルエフスキー参謀総長は、モスクワ市内で開かれた軍事科学技術者の会議で演説し、こう述べている。
 「私達は、誰も攻撃する意図を持っていません。しかし、私達のパートナー全てがはっきりと理解し、 誰もが、いかなる疑問も抱かない時、軍隊は、ロシア連邦およびその同盟国の主権および領土を完全に保護する為に使用されるでしょう。それは予防的措置も含まれ、そして、核兵器の使用も含まれるでしょう」
 「軍隊は、その利益を護る為、国家首脳の意思表示の為に使用されなければならない。それは、全ての残る手段が、効果が無いと分かった時の非常手段としてでなければならない」
 真の意図はともかく、この発言は欧米各国に衝撃を与えたのだが、一説には軍改革で冷飯を食わされている現役軍人たちの不満を代弁する形で、ロシア政府を含め、混乱させるために行った発言と言われる。
 また、バルエフスキーは、この日の講演で、聴衆からの質問に答え、セルジュコフ国防相がモスクワからサンクトペテルブルグへのロシア海軍総司令部の移転を決定したと報じられている事に関して「私は個人的に、それは今日、必要性が無いと考える」と答え、移転を「時機をわきまえないもの」と述べたことも注目された。

 3月下旬、ロシア各メディアは、バルエフスキーがセルジュコフ国防相と対立し、辞表を提出した、と報じた。過去何度も辞表提出をちらつかせてきたらしいが、直接プーチンに談判したとされる今回は状況が違っていた。政権交代を前に何らかの意思表示とも見られた。
 アメリカのミサイル防衛施設配備問題を巡り、3月18日にモスクワで開かれたロシア・アメリカの外相・国防相会議(いわゆる2プラス2)にも姿を見せる事は無かった。公式には、参謀総長は25日まで休暇扱いとされていた為に欠席したと説明されたが、こういう会議の場合は、たとえ休暇中でも呼び出されるのが通例である。欠席したとも、会議への出席を要請されなかったとも言われる。そして、このバルエフスキー辞任騒動の際、後任として既に名前が挙がっていた人物こそマカロフである。

 政権が交代しようやく落ち着いてきたこの時期、セルジュコフ国防相がメドヴェージェフ大統領に対してバルエフスキー更迭を促したと示唆される。セルジュコフは軍にも他の武力省庁にもバックグランドを持たない文民国防相であり、メドヴェージェフ大統領に近いと言われているからだ。プーチン大統領(当時)からは多大なる信頼を寄せられ、また改革を前に軍内部の背広・制服組の掛け橋を任せられた。ついには昨年、3年の定年延長を決定していたし、しばらくは不安定ながらもセルジュコフ=バルエフスキー体制が続くものと思われたが・・・。メドヴェージェフ大統領が独自色を出したことを意味するのか?はともかくとして、今後の軍機構は、逆に運営上難しい部分も出てくるはずで、注目される。またすでにこの余波を受け、軍管区レベルでの異動人事に関する話も出始めている。

 ともあれ、最近の日本への領空侵犯(米空母への異常接近)に関しても、実は軍現場レベルが制度改革、文民顧問が多く策定に加わる新国防計画の整備などに対して不満を持っていて、そのはけ口として行ったとも推測することも出来る。そもそもこの領空侵犯に対して政府と軍のコメント内容及び非を認めた謝罪の時期が微妙に喰い違っていることが疑問だった。

 これまで何度も辞表を提出しては慰留されてきたと言われるバルエフスキーだが、現在の状況をどう考えているんだろうか?
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by nekra | 2008-06-04 12:05
 メドヴェージェフ大統領は5月19日、汚職対策の国家計画策定に関する大統領令に署名し、自らを議長とする汚職対策評議会を設立した。汚職対策評議会は今後、大統領に対して汚職対策分野における国家政策を提言して、国家諸機関と活動を調整することになる。また評議会設置を受けて、1ヶ月以内に汚職対策に向けた国家計画が策定される見通しである。

 今回選出された汚職対策評議会のメンバー(19人)

 メドヴェージェフ大統領
 ソビャーニン副首相兼政府官房長官
 コノヴァロフ法相
 ナビウリナ経済発展相
 ヌリガリエフ内相
 ボルトニコフFSB長官
 ステパーシン会計検査院長
 バストルイキン検事総長第一代理(検察庁付属捜査委員長)
 ゾリキン憲法裁判所長官
 レベージェフ最高裁判所長官
 チャイカ最高検事総長
 A.イワノフ最高仲介裁判所所長
 バルシェフスキー憲法裁判所・最高裁判所・最高仲裁裁判所・ロシア政府全権代表
 ナルイシュキン大統領府長官
 ブリチョーバ大統領補佐官
 ドゥボルコヴィチ大統領補佐官
 マルコフ大統領補佐官
 チュイチェンコ大統領補佐官兼大統領府管理局長
 クチェレナ社会院メンバー(弁護士)

 リベラル派と目されるメンバーがほぼ大半を占めていることは注目される。
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by nekra | 2008-06-03 17:42
 先日のブログで「メディア規制法改正案」について取り上げたばかりだったが、今回メドヴェージェフ大統領がその改正案審議の打ち切りを下院に要請したようだ。

 メディア規制廃案を要請 ロ大統領、リベラル色発揮
 【モスクワ3日共同】ロシアのメドヴェージェフ大統領は2日、個人の中傷に当たる誤報をしたメディアへの閉鎖命令を認めるメディア法改正案について「メディアの正常な活動の障害になるのは明らかだ」として、改正案の審議を打ち切り、事実上の廃案にするよう下院に要請した。タス通信などが報じた。

 前大統領のプーチン首相が新体操のアテネ五輪金メダリスト、カバエワさんと再婚すると報じた大衆紙が休刊に追い込まれており、法改正案は政権側の報道統制強化の一環とみられていた。今回の廃案要請は、リベラル派とされるメドヴェージェフ大統領がメディアに対して柔軟な姿勢を示した形だ。

 下院は廃案要請を受け入れるとみられる。

 改正案はプーチン首相が率いる政権与党「統一ロシア」の議員が起草。ロシア通信によると、誤報を繰り返したメディアに閉鎖を命じることができるとされ、4月下旬に下院の第一読会を通過。報道関係者などから「報道への弾圧につながる」と懸念が高まっていた。

 ・・・あの騒ぎは結局何だったんだと疑問はつきないけれど。
 ところでメドヴェージェフ大統領の場合、息子イリヤを伴ってサッカーを観戦している姿をメディアに公開したり、週刊誌とのインタビューでも「ママに毎日電話している」と話したり、夫人スベトラーナは比較的目立ちたがり屋で露出が多いと言われるように、極度にプライベートを隠していたプーチンと違って、メディアとプライベートの問題をもっとラフに考えているようだ。
 (5月8日付『毎日新聞』)
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by nekra | 2008-06-03 10:42
メドヴェージェフ大統領就任演説
 (http://www.kremlin.ru/text/appears/2008/05/200262.shtml

Выступление на церемонии вступления в должность Президента России

Д.МЕДВЕДЕВ:
 Уважаемые граждане России, дорогие друзья!

 尊敬するロシア国民、大切な友人の皆さん

 Только что мной принесена президентская присяга, она даётся народу России, и в её самых первых строках – обязательство уважать и охранять права и свободы человека. Именно они признаны высшей ценностью в нашем обществе, и именно они определяют смысл и содержание всей государственной деятельности.
 たった今、私は大統領の宣誓を行った。それはロシア国民に対してのものであって、冒頭の数行に、人間の権利と自由を尊重し、保護する義務が(記されて)ある。それらは我々の社会においてもっとも崇高な価値と認められており、また全ての国家活動の意義と内容を方向付けるものである。

 В этой связи считаю своей важнейшей задачей дальнейшее развитие гражданских и экономических свобод, создание новых, самых широких возможностей для самореализации граждан – граждан, свободных и ответственных как за свой личный успех, так и за процветание всей страны. 
 それに関連して、私は、国民及び経済の自由のさらなる発展、国民の自己実現のための、新しくそして最大限に広がっている可能性の創出-すなわち個々の幸福だけでなく、国家全体の発展に対しても自由かつ責任を持っている国民の、その自己実現のための経済と自由の発展及び可能性の創出を最も重要な課題だと考えている。

 Именно такие люди создают высокое достоинство нации и являются источником силы государства – государства, у которого есть сегодня и необходимые ресурсы, и чёткое понимание своих национальных интересов.
 まさにそうした人々が国家の高い尊厳と、国力の源泉を創出する。国家には今日、必要な資源もあれば、国益に関するはっきりした理解もある。

 Хотел бы заверить сегодня всех граждан страны, что буду работать с полной отдачей сил как Президент и как человек, для которого Россия – это родной дом, родная земля.
 今日ここに私は、大統領として、(我々の)生家であり、(我々の)大地であるロシア国民の一人として、全ての国民のため、全力を傾注して働いていくことを請け負いたい。

 За последние восемь лет был создан мощный фундамент для долгосрочного развития, для просто десятилетий свободного и стабильного развития. И этот уникальный шанс мы должны максимально использовать, чтобы Россия стала одной из лучших стран мира, лучшей – для комфортной, уверенной и безопасной жизни наших людей: в этом – наша стратегия, и в этом – ориентир на годы вперед.
  過去8年間で、長期にわたる発展、及び数十年に及ぶ自由で安定的な発展のための力強い基盤が創出された。そして、そのユニークなチャンスを我々は最大限に活用すべきである。ロシアが世界の最も優良な国家一つになるために、国民の、快適かつ信頼のおける、安全な生活にとって最良の国になるために(活用すべきである)。そこに、我々の戦略と今後の指標があるのだ。

 Я в полной мере осознаю, как много ещё предстоит сделать – сделать, чтобы государство было действительно справедливым и заботливым по отношению к гражданам, чтобы обеспечить самые высокие стандарты жизни, чтобы как можно больше людей могли причислить себя к среднему классу, могли получить хорошее образование и качественные услуги в области здравоохранения.
  私は、我々にはまだすべきことが多く控えていることを完全に自覚している。国を必ずや国民にとって公正で思いやりのあるものとし、最高の生活水準を保証し、出来るだけ多くの人々が自分たちを中流階級と分類し、良い教育及び保健[社会保障]分野における質の高いサービスを受けることが出来るようにしなければならない。

 Мы будем добиваться внедрения инновационных подходов во все сферы жизни, строить самые передовые производства, модернизировать промышленность и сельское хозяйство, создавать мощные стимулы для частных инвестиций и в целом стремиться к тому, чтобы Россия прочно утвердилась среди лидеров технологического и интеллектуального развития.
 我々は社会生活の全ての分野にイノベーション的アプローチを導入し、最先端の生産部門を立ち上げ、工業・農業を近代化して、民間投資への強力な刺激を生み出すべく努力していかなければならないし、全体としてロシアが技術的・知的先進国の一つとして着実に立場が確立されるよう努力していかなければならない。

 Особое внимание придаю фундаментальной роли права, на котором основывается и наше государство, и наше гражданское общество. Мы обязаны добиться истинного уважения к закону, преодолеть правовой нигилизм, который серьёзно мешает современному развитию.
 私は、我々の国家、我々の市民社会の根幹をなす方の基礎的な役割に特別の関心を払う。我々は法に対する真の尊厳を実現し、近代的な発展を深刻に阻害している法的ニヒリズムを克服しなけばならない。

 Зрелость и действенность правовой системы – это важное условие развития экономики и социальной сферы, поддержки предпринимательства и борьбы с коррупцией. Но не в меньшей степени они служат укреплению роли России в мировом сообществе, способствуют её открытости миру и конструктивному, равноправному диалогу с другими народами.
 司法システムの成熟と活動能力、それは経済や社会分野の発展、企業活動の支援、腐敗(汚職)との戦いの重要な条件である。しかし、少なくともそれは、国際社会におけるロシアの役割の強化に寄与し、ロシアの世界への解放や他の(国の)人々との建設的かつ対等な対話を促進する。

 И, наконец, подлинное торжество закона возможно лишь при условии безопасной жизни людей. И я сделаю всё, чтобы безопасность граждан была не только гарантирована законом, но и реально обеспечена государством.
 そして、言ってしまえば、法の真の勝利は、人々の安全な生活という条件があるからこそ可能なものである。私は、市民の安全が法によって担保されるだけでなく、国家によって実際的に確保されるようにやれる全てのことをする。

 Названные мной задачи требуют каждодневного взаимодействия со всеми ответственными политическими силами, с институтами гражданского общества, с партиями, с регионами России.
 私によりここで掲げられた課題は、すべてのしかるべき政治的権力、市民社会機構、政党、ロシア諸地域との不断の連携を必要とする。

 Рассчитываю, что мир и согласие в нашем общем доме будут и дальше укрепляться сотрудничеством разных конфессий, социальных групп и национальных культур: от этого прямо зависит настоящее и будущее нашей страны.
 私は、「我々の共通の家」における平和と調和は、様々な宗派、社会グループ、民族文化の協力関係によって今後も発展していく。本当の我々の国、将来の我々の国に直接かかってくる。

 Дорогие друзья! Вы понимаете, сколь глубокие чувства я сейчас испытываю. Я хорошо осознаю, какой груз ответственности ложится на мои плечи, и рассчитываю на нашу совместную работу.
 親愛なる友人の皆さん、あなた方は、それほど深い感情を今私が感じているか理解しておられるだろうか?私は、どれほどの責任の重みが自分の双肩にかかっているかを理解しているし、我々の共同作業を期待している。

 Я сердечно благодарю Президента Владимира Владимировича Путина за его неизменную личную поддержку, которую я постоянно ощущал. Уверен, что так будет и впредь.
 私は、ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチンに、絶えず感じてきたその変わらない個人的支援に対し、心から感謝している。(そして)今後もそうであることを確信している。

 Сама жизнь и ход истории ставят перед нами принципиально новые, ещё более сложные задачи. Но убеждён, что их достижение абсолютно по силам нашей стране, её трудолюбивому и талантливому народу.
 社会生活そのものやこれまでの歴史的経緯は、我々に革新的な、そしてより複雑な課題を課題を課している。しかし、その達成は、我々の国の力量、その勤勉で才能ある国民と共にあることを確信している。

 И сейчас мой долг – служить ему каждый день и каждый час, сделать всё для лучшей жизни наших людей, их успеха и уверенности в своем будущем, во имя дальнейшего подъёма и процветания нашей любимой Родины – нашей великой России.
 そして今、私の義務は、毎日、毎時間国民に奉仕すること。国民個々の生活、成功、未来に対する確信のための、その全てを行うことであり、我々の愛する祖国-偉大なるロシアのさらなる振興と繁栄の名の下にである。

Спасибо.
 ありがとう。

 
 
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by nekra | 2008-06-01 11:26

途中。

 [2]特集…ロシア特務機関同士の対立が表面化
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●チェルケソフ麻薬監督庁長官、側近を逮捕した捜査委員会を批判

 これまで常にベールの下にあったロシアの特務機関同士の対立が表面化し、大
きな波紋を広げている。武力省出身者(シロビキ)の筆頭の1人であるセチン大
統領府副長官の影響下にあり、巨大な権限を持つ「捜査委員会」が、セチン派と
対立するチェルケソフ麻薬監督庁長官の側近を逮捕したことが発端だ。これに対
しチェルケソフ氏は有力紙コメルサントへの寄稿で捜査委員会を公然と批判。プ
ーチン大統領はチェルケソフ氏の寄稿を「適切ではない」としたが、強力な司法
機関である国家反麻薬委員会を創設し、チェルケソフ氏を同委員長に任命する大
統領令を発した。(モスクワ・大川佳宏)
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●バランスを狙いチェルケソフ氏を“昇格”

 プーチン大統領が毎年行っているテレビを通じた国民との質疑応答会見。政治
学者や記者らがその会見の分析に忙しかった10月20日、プーチン大統領は突然、
会見の分析など吹き飛んでしまう衝撃的大統領令を発した。国家反麻薬委員会の
創設と、その委員長に、大統領に極めて近い側近で元連邦保安局(FSB)第1
次官のチェルケソフ麻薬監督庁長官を任命したことである。

 ロシアはアフガニスタンなどから欧州へ向かう麻薬密輸ルート上に位置し、麻
薬汚染は深刻である。その意味では、極めて強力な司法機関となる国家反麻薬委
員会の創設は理にかなっているが、その創設の本当の目的は別にあるとの見方が
濃厚だ。

 チェルケソフ麻薬監督庁長官は大きなスキャンダルの渦中にいる。9月に活動
を開始した「ロシア版FBI」といわれる捜査委員会が、汚職などの容疑でチェ
ルケソフ氏の側近であるブリボフ麻薬監督庁作戦局長ら同庁幹部3人を逮捕した
のだ。

 これに対しチェルケソフ氏は有力紙コメルサントに寄稿し、側近の逮捕は「ク
レムリン内のグループの対立の延長にある特務機関(チェキスト)同士の内紛の
結果である」と明言し、「このような内紛は特務機関の不文律に反しており、勝
利するものはいない。特務機関は国家のために1つになるべきだ」と主張したの
だ。

 捜査委員会は検察庁が持つすべての捜査権を引き継ぎ、さらに、不逮捕特権を
持つ上下両院議員や裁判所判事を捜査・逮捕できるという極めて強大な権限を与
えられた司法組織。捜査委員会のバストルイキン委員長は、レニングラード大で
プーチン大統領と同級生だった。

●セチン派抑える大統領の指示か?

 この捜査委員会の上位機関が、パトルシェフFSB長官を委員長とする国家反
テロ委員会であり、パトルシェフFSB長官は、シロビキの筆頭の1人として大
きな力を持つプーチン大統領の側近、セチン大統領府副長官のグループの有力メ
ンバーである。

 一方で、このセチン大統領府副長官のグループと対立するのが、ゾロトフ大統
領警備局長、チェルケソフ氏、そして元FSB長官で元首相でもあるステパシン
会計局長らのグループだ。

 セチン大統領府副長官のグループは昨年六月、セチン氏の親戚(しんせき)で
最大の片腕であるウスチノフ検事総長(当時)の法相への“降格人事”で打撃を
受けただけでなく、内務省やFSB内の同派幹部左遷などで勢力を後退させた。
そのセチン派は捜査委員会発足で反撃に転じ、チェルケソフ氏やステパシン氏の
側近である麻薬監督庁や会計局の幹部の摘発に乗り出した。

 チェルケソフ氏は、事態を調停できる唯一の人間であるプーチン大統領に助け
を求めたが、直接ではなく、コメルサント紙への寄稿を通じ、事態を公にする方
法を取ったことになる。

 これまでタブーとされてきた特務機関の内紛公表に対し、プーチン大統領はテ
レビ会見で「適切ではない」と述べたものの、その張本人であるチェルケソフ氏
を新設した国家反麻薬委員会の委員長に据えたのだ。

 プーチン大統領にとって、側近らの力の均衡は極めて重要である。国家反テロ
委員会と国家反麻薬委員会は担当分野こそ違うものの、政府内の地位は同等だ。
国家反麻薬委員会の構成メンバーには、国家反テロ委員会と同じ内相、FSB長
官、金融監督庁長官らが並ぶ。

 ラジオ局「モスクワのこだま」の世論調査では、チェルケソフ氏のコメルサン
ト紙への寄稿は、プーチン大統領の了承を得て行ったものと考える回答者が90%
に上った。長年のタブーを破り事を公にしたことは好感を持って受け止められて
おり、プーチン大統領の権威をさらに押し上げる結果ともなった。

露政権“仁義なき戦い” 後継大統領候補は…
2007.12.8 20:04

このニュースのトピックス:ロシア・CIS

6日、モスクワ郊外の大統領官邸で執務にあたるプーチン大統領。治安機関の内部抗争は後継者の人選に影響を与えかなねい(AP) 【モスクワ=内藤泰朗】先のロシア下院選挙で大勝したプーチン大統領の“皇帝(ツァーリ)化”が進む中、政権を牛耳る保安・治安機関の内部抗争が露呈。巨大利権をあさる石油大国の権力機関同士の壮絶な闘争は、今後の政権の安定に暗い影を投げかけている。抗争の行方は、間もなく明らかにされる後継大統領候補の人選にも大きく影響を及ぼす可能性が出てきた。

 クドリン財務相の右腕であるストルチャク財務次官が、国家予算の巨額流用を試みたとして突然逮捕されたのは先月15日のこと。

 当局はさらに、別件容疑の捜査も開始したが、検察側は証拠不十分だとして別件捜査を終了すると発表。これに、「ロシアの新ソ連国家保安委員会(KGB)」と呼ばれる捜査委員会(SK)が今月6日、捜査の継続を求めてかみつき、捜査当局間でも軋轢(あつれき)が生じていることが表面化した。

 9月に創設されたばかりのSKのバストルイキン委員長は、プーチン氏の大学時代の同窓で、「シロビキ(武闘派)」と呼ばれる保安・治安機関の最右翼、セチン大統領府副長官と近い関係にあるとされる。

 報道によると、SKが圧力をかけるチャイカ検事総長は、同じプーチン氏の旧友でありながらセチン派とはライバル関係のチェルケソフ麻薬流通監督庁長官が率いる派閥に属する。

 この事件に先立つ今年10月には、セチン派の連邦保安局(FSB)が麻薬流通監督庁の高官を拘束する事件が発生。チェルケソフ長官は、ロシアの有力日刊紙コメルサントで「こうした『戦争』に勝者はない」と警告していた。

 クドリン財務相は、ストルチャク次官との面会を求めているが依然実現しておらず、「なぜ、逮捕されたのか理解に苦しむ」と表明した。

 ただ、同次官は、石油収入の一部を貯蓄し1440億ドル(約16兆円)以上にふくれあがった基金を統括していることから、専門家らは「巨大利権の統括権をめぐる暗闘がシロビキの中で起きている」との見方を示している。

 KGB出身のプーチン氏は7年半前の大統領就任以来、KGB出身者や軍関係者を重用し、政権の主要ポストを固めてきた。後継大統領候補が注目されるなか、肥大化した「シロビキ」の内部抗争を抑えながら、政権内の権力バランスを保てるのは、プーチン氏の最側近で、やはり同じKGB出身のイワノフ第1副首相との見方が出ている。
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by nekra | 2008-05-30 16:04

カバエワ報道再考。。

 プーチン大統領が離婚して、30歳年下の元新体操世界チャンピオン:カバエワ下院議員と再婚するという報道がなされたのは先月の中旬だった。しばらく前から不倫は公然の秘密だったといわれるが、なぜ今、この時期になって報道されたのか?プライベートが公になることを極端に嫌っていたプーチンだが、なぜこの時期に露骨な形でプーチンの私生活が晒されることになったのか?
 こういう話もある。「新政権人事に何かしら影響を与えたいと考えるシロヴィキ派の周辺が行った工作とは言えないか」だ。プーチンは、政権交代を前にリベラル的な政策の提言を行うようになり、メドヴェージェフを次期大統領後継に選ぶなどリベラル派周辺人脈を重用し始めた。これに対して、不満を感じた政治家も少なくなかっただろう。新政権成立を前に牽制を込めたブロージョブという考え方だ。
 
 プーチン大統領が離婚? メディアも大騒ぎ

 【モスクワ=内藤泰朗】ロシアのプーチン大統領(55)が今年2月にリュドミラ夫人(50)と離婚し、今年6月15日前後に同国の元新体操世界チャンピオンで下院議員(与党・統一ロシア)のカバエワさん(24)と再婚するとの報道が流れ、確認作業のためメディアが大騒ぎしている。

 “離婚”を報じたのは11日付のロシアの日刊紙モスコフスキー・コレスポンデント。プーチン大統領とカバエワさんの婚礼準備のために行われた入札に参加したとされる関係業者などの話として伝えた。それによると、プーチン大統領のパスポートにはすでに、大統領の出身地であるサンクトペテルブルク市登録局の「離婚」印が押してあるという。

 カバエワさんの広報担当者は早々と同報道を否定したが、大統領府は16日現在、沈黙したまま。真偽のほどは定かでないが、ネット上では最も活発に議論されるテーマとなっている。

 2004年のアテネ五輪個人総合で金メダリストとなり、昨年12月に議員となったカバエワさんは、ロシアで最も成功した美女の一人として知られている。

 (http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080416/erp0804161942005-n1.htm)
 
 これを報じたのは、モスコフスキー・コレスポンデントという一昨年秋頃に創刊した発行部数の小さいタブロイド紙
で、その代表者は、元KGB、実業家、プーチン政権批判など様々な顔を持つアレクサンドル・レベージェフである。タブロイド紙といえ政治的には中立な姿勢を保っていると評する向きもあるが、創刊(報道)時期・代表者の特異な経歴を考えれば、単純にそう考えていいものか分からない。その後、同社があっさり休刊を宣言するのも頷けない。

 再婚報道の新聞が休刊に プーチン氏の批判受け謝罪
 【モスクワ19日共同】ロシアのプーチン大統領(55)が新体操のアテネ五輪金メダリストのカバエワさん(24)と再婚すると報じ、大統領に「事実無根」と批判されたロシア紙モスコフスキー・コレスポンデントが19日までに謝罪し、休刊に追い込まれたことが分かった。

 同紙の経営者はラジオ局「モスクワのこだま」に対し「出版経費が約半年前の計画よりも上回ったため」と説明しているが、クレムリンから圧力がかかったとの見方も出ている。

 プーチン大統領は18日の記者会見で、報道を否定した上で「性的妄想を抱いて他人の生活に鼻を突っ込むような人物は許せない」と強く非難。カバエワさんも提訴する意向だとの情報も報じられた。

 同紙編集部はロイター通信に対し「新聞の所有者に近い人からの圧力」があることを認めた上で謝罪するつもりはないとしていたが、18日には「報道には根拠がなかった」と謝罪する文書を掲載し、ウェブサイトも閉鎖された。
 2008/04/19 20:57 【共同通信】
 (http://www.47news.jp/CN/200804/CN2008041901000671.html

 その後、事態は興味深い方向に流れる。ロシア下院でメディア法修正案が議員立法の形でなされた。最年少議員シュレーゲリが、誤報を3回繰り返すと、同メディアを当局が強制的に閉鎖できるとする法律修正案を提出したのだ。同議員は24歳・・・まさに「プーチン・チルドレン」の一人といって良いだろう。

・・・現行法では、急進主義を煽ったり、テロを肯定する報道を行ったりしたマスコミが、裁判所の決定により閉鎖措置となる条項を規定している。改正案は「閉鎖の理由となる事項」に、上記の「中傷やウソ」などを追加するものだ。
 マスコミ法改正の動き自体は、しばらく前から出ていた。ウクライナのクチマ旧政権を転覆させたオレンジ革命などがロシアに波及することを恐れるプーチン政権が発足させた官製青年組織「ナッシ」出身のシュレーゲリ下院議員(統一ロシア)がイニシアチブを取り、準備を進めていた。
 シュレーゲリ氏の主張は次の通りだ。「ロシア国民のわずか14%しかマスコミを信用していない。ウソや根拠のない誹謗中傷が報じられ、マスコミは市民の権利を守る手段ではなく、オーナーが自ら政治的な利益を実現する手段と化している。中傷記事の責任は執筆者だけではなく、報じたマスコミも負うべきだ」・・・

 (5月21日付『世界日報』)
 
 一時は、あまりに閉鎖的な法案なだけに、下院での審議は見送られたものの、カバエワ報道を機に状況は一転。4月25日下院による全会一致の基本採択に至る。

 穿った見方をすれば、彼は、偉大なるロシア・尊敬するプーチンを侮辱した人間を許さないと「自分で」法案起草を推し進め、その他多くの便乗者の後押しを受けた結果、提出にこぎ着けたのだと考える。これが事実であれば、シロヴィキ派やリベラル派の板挟みでプーチンが苦況に立たされても、親プーチン議員が圧倒的多数を占める議会は手助けしてくれるだろう。今後の政権運営でもこうしたことが示唆されるのだ。例え、どのような意味で苦境に陥っているか、実際には議員の多くが知らないままに。


 露、誤報3回すると当局がメディアを強制閉鎖 法案が下院で可決の見通し
 【モスクワ=内藤泰朗】ロシア下院(450議席)はこのほど、誤報を3回繰り返すと、同メディアを当局が強制的に閉鎖できるとするメディア法修正法案を第1読会で圧倒的賛成多数で支持し、近く可決が確実な情勢となった。
 先にプーチン大統領が新体操の元女王と再婚準備を進めていると報じた日刊紙が発刊停止に追い込まれており、露政権がタブー視する大統領への個人攻撃や政権批判を封じ込める狙いがあるものとみられている。
 報道によると、同修正法案を提出したのは、プーチン大統領が党首に就任した与党、統一ロシアのシュレーゲリ議員(24)。最年少の同議員は「インチキな報道がはびこる中で、メディア側に責任感を持たせるためだ」と説明。裁判所が報道の真偽について判断を下すという。
 25日の第1読会では賛成399人、反対1人で同修正法案が支持された。このあと2回の読会も通過し、採択されることは確実だ。
 しかし、ロシア国民の多くは裁判所を信じていない。メディア側からは「言論の自由に対するさらなる弾圧だ」との批判の声も聞かれるが、ロシアは事実上、大統領派が独裁的な権力を行使しており、言論統制がさらに進むことは避けられないだろう。
 ロシアでは、誹(ひ)謗(ぼう)・中傷報道はすでに「刑事事件」として扱われ、編集長が逮捕される事件がたびたび起きているほか、急進派メディアも「危険分子」として閉鎖対象となっている。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/141018/
 
 2002年以降国境なき記者団が提出する「報道自由ランキング」で、ロシアは144位(2007年、ちなみに日本は37位)。当然G8では最低だ。 誹(ひ)謗(ぼう)・中傷報道として編集長や記者が暗殺される事件も多いという。


 世界が驚いたプーチン・ロシア前大統領(現首相)の再婚準備報道から約1カ月。ロシアではこの間、何が起き、いったい真相は何なのか・・・(中略)・・・(4月18日)スキャンダルを報じたモスコフスキー・コレスポンデント紙は即休刊、その後、廃刊となったほか、3回誤報をしたメディアを閉鎖できる恐ろしい法案が、下院第1読会でスピード採決された。“皇帝”の私生活は国家機密で、報道上のタブーなのだ。
 そのプーチン氏は、離婚したと報じられたリュドミラ夫人と復活祭のミサに参列した。しかし、知人のロシア人記者によると、2人は同じ公邸内でも別々の場所に住み、別居状態にあるのは公然の秘密なのだという。
 果たしてホントかどうか。これ以上書くと、本支局もつぶされかねない。あ~、怖い。
(モスクワ支局長 内藤泰朗)
 (5月16日16時39分配信 産経新聞【夕刊キャスター】露“皇帝”の私生活は国家機密)
 (http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080516-00000118-san-int

 様々な利害関係が蜘蛛の巣のように絡まり合い、そのためこの事件に関しては様々な憶測が飛び交っている。実際のところはどうなのか分からないけれど、シロヴィキ派が絡んでいるのではないかという視点はある意味面白くはないだろうか。

(→本ブログ:「メディア規制改正案の審議打ち切り 2008-06-03)
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by nekra | 2008-05-28 18:06
 正直、タイプも遅いし、文章も下手なので一件投稿するのにかなり時間がかかる・・・。
今更人事なんてあちらこちらのメディア、研究機関等で分析が済んでいるので、今更ながらの感は否めないけれど。とりあえず、乗りかけた舟なので・・・愚考なんぞ。


 シロヴィキ派内部で、セーチン-パトルシェフ・グループとチェルケソフ・グループの対立が度々指摘されてきた。派閥内権力闘争が行われてきたと言われる。リベラル派に比してシロヴィキ派は権力欲が強く、とりわけポスト・プーチンの頃から各派はあらゆる手段を用いて、政権や他派閥にゆさぶりをかけては自派閥の勢力拡大に努めてきた。
 例えば、プーチン首相は自身の権力を保持するためにも、強引な手法で権力を追究するシロヴィキ派にうんざりしていたと言われる。

 ・・・プーチン氏率いる与党「統一ロシア」の大勝が確定してわずか2日後に後継候補を明確に示した背景には、後継大統領のポストをめぐり「シロビキ(武闘派)」と呼ばれる旧KGB出身者ら政権を支える指導部内部で起きている抗争の激化がある。
 KGBの後継機関である連邦保安局(FSB)が今年10月、麻薬流通監督庁の高官を逮捕する事件が発生したのに続き、財務省高官の汚職捜査をめぐり、この9月に発足したばかりの捜査委員会(SK)と検事総長が対立。肥大化し内部闘争を始めたシロビキの上に立つ(プーチン)大統領も下院選挙後、「いたずらに改革の時間を浪費してはいけない」と述べていた。・・・

 (「プーチン大統領 「弱い後継」院政へ布石 政権内抗争で指名早める」
  2007年12月17日付産経ニュース
  http://sankei.jp.msn.com/world/europe/071211/erp0712110850005-n1.htm)

 シロヴィキ派の強硬派代表と言われたセーチンだが、今回人事で、大統領府副長官から(軍事産業を除く)産業政策担当の副首相となった。これまで「影の実力者」というイメージであったが、表舞台の政治家に転身したと言って良い。残念ながらこれを肯定的に捉える意見は多くない。大統領府でセーチンと対立していたと言われるシュヴァロフが、同じくプーチン首相の下第一副首相に決まったのに比べるとずいぶんと見劣りする状況だ。
 副首相就任と同時に、造船関係の会社の会長に就任したと言われるが、なおも代表取締役会長を務めるロスネフチが今年秋に株式総会が開かれるというので、この時期の流れ如何でプーチンがセーチンをどう考えて副首相に配置したかも分かってくるかもしれない。
 
 一方、昨年9月の首相就任を機に、突如大統領後継レースに登場したズプコフはどうか。
比較的高齢でシロヴィキ派内部で抗争が展開する中にあってニュートラルなポジションにいたと言われる。また実務能力や、中央-地方、シロヴィキ派内の折衝能力は申し分なく、プーチンの信任も厚かったと言う。
 その意味で、プーチンが4年後の返り咲きを前提に、ズプコフを大統領にする考えがあったことは想像に難くない。ズプコフもこの流れに関し満更ではなかったようだ。しかし、この人生の大先輩をのせるだけのせておいて、結果として後継を見送った。
 プーチンはこれを詫びるような意味を込めて彼を第一副首相にしたのではないだろうか。同じ第一副首相のシュヴァロフが難しい(しかし政治的にも重要である)分野を担当するのに対し、ズプコフは自身これまでの専門であった農林業のナショナル・プロジェクトなどを担当するという。
 ズプコフが最後の花道を飾るのに、一番良いポジションを用意したと言える。

 5月20日付『日本経済新聞』の「地球回覧-ロシアが手にする新たな『武器』」ではソ連邦崩壊後、コルホーズの民営化以降、経営力・技術不足から広大な農地を効率的に活用してこなかったことを教訓に、休耕地を再び活性化し、穀物などの一大食糧供給地にしようという動きがロシアで広がっていると書いてある。米カーギル等外資の参入もあり、国際穀物価格の急騰といった後押しをも受けて、ついにロシア政府が力を入れるのだ。
 ・・・「政府は農業に積極的に関与すべきだ」。プーチン内閣で農業などを担当する第一副首相に就任したズプコフ前首相はこう強調した。政府は昨年10月、国内価格の上昇に歯止めをかけることを建前に小麦などに輸出関税を課したが、これは国家管理の序章との見方が出て いる。・・・(中略)・・・プーチン氏は8日、下院での首相就任前演説で「ソ連時代ロシアは穀物輸入国だったが、今では輸出国となった」と胸を張った。
 (5月20日付『日本経済新聞』の「地球回覧-ロシアが手にする新たな『武器』」

 農業政策は中央と地方が対立するのは古今東西同じだが、折衝能力にも優れ、かつ実務家のズプコフ首相にとって本領を発揮できる最適のポジションといった良いだろう。
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by nekra | 2008-05-27 16:39
 ロシア、TV報道も双頭体制?
  大統領と首相、露出度互角

 ロシアのメドヴェージェフ大統領、プーチン首相の新体制始動後、両者の主要テレビ局への登場時間がほぼ互角となった。「どちらが真のナンバーワン」かという興味がつきないなか、プーチン陣営にとっては首相が大統領並みの権力を握っている印象を国民に与えることに成功したといえそうだ。
 コメルサント紙によると、全国をカバーする3テレビ局の11日から16日までの定時ニュースの両氏の登場時間は、大統領が4時間51分、首相が4時間37分だった。


 5月27日付『日本経済新聞』
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by nekra | 2008-05-27 09:26
 今回の人事をして、プーチンが4年後の返り咲きを視野に、自分の権力を保持する配置を行ったとする見方もある。例えば、権力志向の強いシロヴィキ派のセルゲイ・イワノフ、イーゴリ・セーチンらを首相府-すなわちプーチンの管轄下に、しかも水面下調整のしにくい政治の表舞台に引きずり出すことで、これを牽制する。その一方、自分に忠実で、法律・経済に明るいリベラル派と呼ばれる一派を重用することで、経済成長の持続と欧米諸国からの信頼を勝ち取る。

 この考え方では結局メドヴェージェフ大統領は、「お飾り」ということになる。
 またその前提は、メドヴェージェフが4年間あくまでもプーチンに忠実であった場合に限られるだろう。しかしロシアでは大統領の権限は絶大だ。1,2年後先のメドヴェージェフの施政、プーチンとの関係も変わることだろう。
 ともあれ、5月21日付AFP通信に興味深い記事が掲載された。今なお、プーチンが権力を一手に掌握しているとする記事だ。


 どっちがロシア大統領? 復活する席順からのクレムリン観測
2008年05月21日 22:59 発信地:モスクワ/ロシア

【5月21日 AFP】
ロシアを治めているのは、ドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領か、それともウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相か? 答えは、席順を見ればわかる。

 不透明さを増すロシアの政治体制を理解するうえで、観測筋は冗談にも思えるこうした旧ソ連的な「順番当てゲーム」に、大まじめに頼らざるを得ない状況だ。

■初会談で変わらなかった席順

 旧ソ連時代、「クレムリノロジスト」と呼ばれるアナリストらは、情報が極めて乏しいなかにあって、赤の広場でのパレードの政治局メンバーの顔ぶれや、共産党機関紙「プラウダ(Pravda)」を手がかりに、局内で誰が昇進し誰が降格されたかを判断したものだ。そして、ロシアトップの2人のうちどちらが国を動かしているのか、混乱が生じている今日、かつての「クレムリノロジスト」たちの出番となった。

 前週、その判定材料を目にしたクレムリノロジストたちは息をのんだ。国営テレビで放映されたクレムリンでの2人の初会談。その席順は、プーチン首相が大統領時代に閣僚たちを叱りつけていた時と同じだった。プーチン首相が左側の席に、メドベージェフ大統領は右側に座ったのだ。 

 これは、実権を握っているのがプーチン首相で、メドベージェフ大統領はお飾りにすぎないことを意味しているのだろうか?

■礼拝から戦勝記念日パレードまで、すべて分析材料

 カーネギー国際平和財団モスクワ・センター(Carnegie Moscow Centre)のアナリスト、マーシャ・リプマン(Masha Lipman)氏は「誰もが気付いていることだ」と答える。「それよりも前に、2人の大統領が夫人同伴でイースターの礼拝に出席したときも、政治マニアは注意深く観察していた。誰がいて誰がいなくて、今までと違う点はないか、と」

 ロシアの大統領がどうやって選ばれるのかを、どうにか理解しようとするなかで「メドベージェフ氏の背が、背の低いプーチン氏よりもさらに少しだけ低いから」という理屈を持ち出す者もいる。頭の毛の薄い人物とふさふさの人物が交代で就任する、との説もある。

 そして戦勝記念日(Victory Day)パレードが行われた9日、ちまたが騒いだのは、赤の広場に並んだ核ミサイルでも戦車でもなく、国営テレビが切り取った「閲兵するプーチンとメドベージェフ」の構図だった。

 英エコノミスト(Economist)誌は「マルクス、エンゲルス、レーニンの古い3連の祭壇画を見るようだった。まさに父と子、創設者とその追随者、偉大なるリーダーとその弟子だった」と評した。

■プーチン氏のしぐさにはすべて意味がある?

 お茶の葉を見て運を占うのにも似たこうした憶測は、完全に自由なメディアや透明な選挙というものが存在しないがためだ。政府内で何が起きているかを理解するための常套手段はないと、アナリストらは言う。

 米保守系シンクタンク「ヘリテージ財団(Heritage Foundation)」モスクワ支部のあるアナリストYevgeny Volk氏は、プーチン首相のどんなに些細なボディーランゲージにも、席順にも、必ず意味があると言う。

 一方で、先のリプマン氏は、あまりに些細な行動に深い意味を付与することには疑問符を付ける。「プーチン氏は、自分に取り入ろうとする人間たちをからかうことに特別な喜びを見いだしているのでは。2人とも単にわたしたちをからかっているだけじゃないかとさえ思う」(c)AFP/Sebastian Smith

 (http://www.afpbb.com/article/politics/2394137/2952337
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by nekra | 2008-05-23 13:38