新聞・雑誌等でみるロシア・CIS諸国の政治経済(愚考集)


by nekra
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 5月12日、プーチン新内閣とロシア大統領府の主要人事が発表されました。

【大統領府】
 セルゲイ・ナルィシュキン: 大統領府長官(前副首相)
 ニコライ・パトルーシェフ: 安全保障会議書記(前連邦保安庁長官)

【内閣】
 ヴィクトル・ズプコフ: 第一副首相(前首相)
 イーゴリ・シュヴァロフ: 第一副首相(前大統領補佐官)
 
 アレクセイ・クドリン: 副首相兼財務相(留任)
 アレクサンドル・ジューコフ: 副首相(留任)
 セルゲイ・ソビャーニン: 副首相兼官房長官(前大統領府長官)
 セルゲイ・イワノフ: 副首相(前第一副首相)
 イーゴリ・セーチン: 副首相(産業担当!?前大統領副長官)

 
 セルゲイ・ラブロフ: 外相(留任)
 エルヴィラ・ナビウリナ: 経済発展相
 ヴィクトル・フリスチェンコ: 産業・貿易相(前産業・エネルギー相)
 セルゲイ・ショイグ: 非常事態相(留任)
 ラシード・ヌルガリエフ: 内相(留任)
 アレクセイ・ゴルジェイエフ: 農相(留任)
 ドミトリー・コザク: 地域発展相(留任)
 セルゲイ・シュマトコ: エネルギー相(前“アトム・ストロイ・エクスポルト”社長)
 アレクセイ・フルセンコ: 教育・科学相(留任)
 イーゴリ・ショゴレフ: 通信・コミュニケーション(情報)相
 イーゴリ・レヴィチン: 運輸相
 ユーリー・トルトネフ: 天然資源相
 アレクサンドル・アフジェーエフ: 文化相(前フランス大使)
 アレクサンドル・コノヴァロフ: 法務相(前沿ヴォルガ大統領全権代表)
 ヴァレーリー・セルジュコフ: 国防相
 タチアナ・ゴリコワ: 保健・社会発展相
 ヴィターリー・ムトコ: スポーツ・旅行・青年相(新設ポスト:前ロシア・サッカー連盟会長)
 アレクサンドル・ボルトニコフ:連邦保安庁長官(前連邦保安庁副長官)

 連邦保健・社会発展局 、連邦建設・公営住宅運営局、連邦産業局、連邦エネルギー局は廃止された。連邦登記庁と連邦国家統計庁は経済発展省の管轄下に置かれた。(http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0513&f=stockname_0513_099.shtmlなど報道資料から作成)
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# by nekra | 2008-05-13 12:17

プーチン首相誕生!

 メドヴェージェフが大統領後継者となってすぐに確約したプーチンの首相就任。事実上政権与党とされる大政党「統一ロシア」党首への就任して、用意周到。この度晴れて首相に就いた。


 “プーチン首相就任演説 経済大国化でバラ色?”
 汚職蔓延・武闘派支配…潜む“爆弾”
 【モスクワ=内藤泰朗】ロシア下院は8日、前日に大統領職を退任したプーチン氏の新首相就任を圧倒的賛成で承認。新首相は下院で、ロシアを、英国をしのぐ世界最高水準の経済大国とする大発展計画を発表した。だが、石油バブルに沸くロシアには、汚職体質や警察国家化、所得格差の増大、対外関係の緊張など無数の“爆弾”が潜む。大国主義が基盤のプーチン計画の危うさが浮き彫りにされている。
 下院では、メドベージェフ新大統領自らが「現在のロシアがあるのは、8年間尽力したプーチン氏のおかげだ」と称賛し、同氏を新首相に指名。続いてプーチン氏が議員たちを前にロシアの大発展計画をぶちあげた。
 プーチン氏はまず、ロシアの国内総生産が現在、世界第7位であり、今後、産業分野で最先端の技術を導入しながら発展し、「英国のような国を追い越し、世界有数の経済大国になる」との予測を示した。
 そのうえで、ロシアが今後も世界への経済拡張を続け、モスクワをロンドンやニューヨーク、東京などと並ぶ世界の金融センターのにするとの目標も掲げた。さらに、消費税率引き下げをはじめとする免税や医療など公共分野への投資を増やし、国民生活の向上を約束。最新軍備予算も大幅に増やすなど、バラ色の未来を描いてみせた。
 だが、ロシアでは、国の上層部から最下層部まで未曾有の規模の汚職が蔓延(まんえん)する。エネルギーなど戦略的に重要な分野では、国家予算を湯水のようにつぎ込みながら会計検査もできないソ連時代のような「非効率で、危険な巨大国策会社」(有力日刊経済紙ベドモスチ)が次々と創設される。
 「シロビキ(武闘派)」と呼ばれる治安・保安機関が、国政から経済や文化など市民生活までも牛耳る事態は、先進国の価値観とはかけ離れている。司法もシロビキの影響下にあり、言論の自由は風前のともしびだ。グルジアやウクライナなど旧ソ連圏との対立の激化も予感させている。

 (5月9日8時0分配信 産経新聞)
 (http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080509-00000089-san-int)


 メドヴェージェフよりもより具体的な政治目標を掲げ、国内改革に強い意欲を示しているプーチンだが、政策実現の補佐役である閣内にはどのような人を配置するのだろうか?政治と経済的利益が不可分に融合し、政治家が国営企業を含む大手企業の経営を兼ねている特異な環境の中、国内には(自身ですらその渦中にいる)汚職が蔓延している。マクロ的観点から見れば、経済が好調であるが、社会不安はすぐに体制不安へと繋がるし、極端なインフレは常に経済破綻の危機を孕んでいる。このことを考えると、国内改革は早急の課題だ。権益の維持を図りたいだろうし、簡単にうまくいくとは考えにくい。

 
 プーチン首相は一週間以内に組閣名簿を大統領に提出、承認を求める。ロシア紙などによると、首相は組閣作業に入っており、前ズプコフ内閣で5人いた副首相(第一副首相含む)を増やし、政府機能を強化する方針という。
 首相は、これまで政府の経済政策で不手際が生じた際、国民の批判の矢面に立たされてきたが、多数の副首相を起用することで「プーチン首相が万一、経済政策で窮地に立たされた場合、副首相を解任して責任転嫁に利用できる」(ロシア人ジャーナリスト)との見方も出ている。

 (5月9日付『日本経済新聞(朝刊)』)


 5日付露紙『ガゼータ』によれば、副首相は11人に増え、その中にはイーゴリ・セーチンも含まれており、予算執行監督担当としてヴィクトル・ズプコフ、教育・文化・広報の担当にアレクセイ・グロマフが上げられており、また、安全保障会議長にセルゲイ・イワノフが就任するものとしている。なお大統領府はこれを否定しているという。
(参照:http://gazeta.ru/news/lenta/2008/05/05/n_1214989.shtml)
 閣僚名簿を見るまではわからないが、この記事を見ている限り、プーチン首相府はシロヴィキ派を結集させているようだ。例えば次の報道はその前触れかもしれない。


 ロシアのズプコフ首相は(4月)25日、大統領府のドミトリー・ペスコフ副報道官を首相報道官に任命した。官房副長官も兼任する。プーチン大統領は5月、メドベージェフ第1副首相に大統領ポストを譲り渡し、首相に就任する見通し。プーチン大統領は将来の側近としてペスコフ氏を選んだとみられる。ペスコフ氏はプーチン政権で大統領府の報道担当を務めてきた。
 (4月26日配信 産経新聞)
 (http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080426/erp0804261119002-n1.htm)

 
 また、首相の権限を大きくする政策も以前から決定されている(というかしている)。例えば・・・


 4月末、地方政府が毎年まとめる活動報告の提出先を、これまでの大統領府から連邦政府に移す命令に署名した。今後、知事の「人事考課も連邦政府が行うことになる
 (5月9日付『読売新聞』)
※同法律では、その活動評価が国民によってなされることも定めている。



 各種報道のように、プーチンの国民的人気は依然として高い。ロシアの「世論調査センター」が4月末に行った政治家の信頼度調査(複数回答)では、プーチンが首位の57%で、2位のメドヴェージェフ(40%)に17ポイントの差をつけている。また、わずかではあるが、大統領選挙の得票率もプーチンがメドヴェージェフを上回った。メドヴェージェフの国民的支持はプーチンあってのものだ。これに、メドヴェージェフ新大統領がどう対峙していくのか?タンデム体制下のプーチン動向は要チェックです。
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# by nekra | 2008-05-12 11:35
 天然資源が豊富なロシアはプーチン政権下、石油や天然ガス価格高騰の恩恵で年平均7%の経済成長を遂げた。外貨準備高は中国、日本に次ぐ世界第三位に浮上。エネルギー外交を武器に国際的地位も向上した。
 半面、プーチン氏を取り巻く軍・治安機関関係者らがエネルギーなどの主要資金を牛耳ったのも事実だ。利権を失いたくない勢力が打算の産物としていびつな双頭政権を誕生させたともいえる。

 5月9日付「双頭ロシアの危うい船出」『日本経済新聞』

 プーチン政権は安定していたとはいえ、情報機関出身者や有力官僚、新興財閥などの諸グループの均衡の上に成り立っていた。経験の浅い新大統領の下で新たな均衡をつくるのは容易ではない、というのはその通りであろう。
 5月9日付「独り立ちするしかない」『東京新聞』
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# by nekra | 2008-05-11 22:07

双頭体制のスタート

プーチン氏、首相就任 ロシア下院承認 双頭体制がスタート
(2008年5月9日掲載)

 【モスクワ8日共同】ロシア下院は8日、メドベージェフ新大統領が指名したウラジーミル・プーチン前大統領(55)の首相就任を、共産党を除く賛成多数で承認、新旧大統領が政権運営に当たる異例の「双頭体制」がスタートした。
 プーチン氏は下院の7割を占める与党「統一ロシア」の党首にも就任し、同党を通じて議会や地方をまとめ、国民の高い支持を背景に当面、強い実権を維持するとみられる。同氏の首相就任は大統領就任前の1999年8月に続き二度目。
 下院でプーチン氏は、ロシアは購買力平価で換算した国内総生産(GDP)で今年中に英国を抜き世界6位になれると演説。10−15年で国民生活を世界最高水準に引き上げるとの目標を掲げ、長期にわたって政権にかかわる意欲をにじませた。高いインフレ率については数年以内に1けた台に抑えるとした。
 メドベージェフ大統領は承認に先立ち「プーチン氏は首相としてロシアの発展に重要な役割を担う」と説明。「疑いなく、われわれの二人三脚の協力関係は強固になっていく」と強調した。
 7日の就任演説で自由と法治主義を強調しリベラル色をにじませたメドベージェフ氏はプーチン氏と協議してきた新内閣の顔触れを近く発表する見通しで、政権人事で影響力を発揮できるかどうかが注目される。
 憲法上、大統領は首相解任権を握っており、メドベージェフ氏が力を付けた場合、プーチン氏との権力の均衡が崩れ政治的混乱に陥る恐れもあると指摘されている。
 7日の大統領交代に伴い、ズプコフ内閣は同日総辞職した。前閣僚は新内閣発足まで閣僚代行を務める。
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/display/5686/

ロシア:プーチン首相就任 下院承認、長期「双頭」体制に
 【モスクワ杉尾直哉】ロシア下院(定数450、欠員2)は8日、メドベージェフ新大統領が提案したウラジーミル・プーチン前大統領(55)の首相就任を承認した。新大統領はプーチン氏を首相に任命した。前日、連続3選を禁じた憲法に従い大統領を退任したばかりのプーチン氏は、任期のない首相として長期的に権力の中枢に居座ることが可能となった。

 採決では、下院の7割を占めるプーチン氏が率いる与党「統一ロシア」など、392議員が賛成。反対は共産党の56議員のみで、圧倒的な支持を受けた。

 これに先立ちプーチン氏は約45分演説し、「(大統領として)多くを達成したが、残した課題は大きい」と述べ、深刻なインフレの抑制や、教育・保健医療改革、軍人の昇給、産業の近代化を公約した。外交には触れず、「世界経済安定化のため、ロシアを国際的な金融センターの一つにする」と述べた。メドベージェフ大統領は「我々のタンデム(双頭体制)は強化される」と述べた。
http://mainichi.jp/select/world/news/20080509ddm007030050000c.html


【私見】
 自分から仲が良いんだって言っている人に限って、大してそうでもないが政治の世界。
プーチンとメドヴェージェフは実はあんまり仲良くないなんて話がある。いわゆるシロヴィキ派とリベラル派っていう政策志向の相違だけじゃないかもしれないから難しい。
でも、そうなるとプーチンがメドヴェージェフの政治的地位を引き上げてきたのはわからなくなるか・・・暗殺未遂や政敵を貶めるスキャンダル工作とか簡単に起こる国だから、裏では色々な駆け引きがあったりするのかな。

 そうした意味でとりあえず、閣僚名簿は興味深い。
サンクトペテルブルク人脈やシロヴィキ派(その中にも色々あるんだろうけど)、エリツィン時代からの下野していない政治家たち・・・彼らの処遇次第で今のロシア政治が誰によって動かされているのか、今後どう展開するのか。ある程度予測することが出来るかもしれない。
 経済の繁栄や国民的人気を背景に、どの派とも上手く折り合いをつけてきたプーチンだけど、メドヴェージェフを大統領後継にして、自分は首相になって・・・もしかしたら一番大変なのは彼かもしれない。
 
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# by nekra | 2008-05-10 23:45
 グルジアとロシア、戦争状態に非常に近づいている=グルジア国務相
 [ブリュッセル 6日 ロイター] グルジア紛争地域アブハジアに対しロシアが増派を決定したことについて、グルジアのテムル・ヤコバシビリ国務相(統合問題担当)は、グルジアとロシアは戦争状態に非常に近づいている、との見方を示した。

 国務相は記者会見で「われわれは文字通り戦争を回避しなければならない」と指摘。どの程度戦争に近づいているのかとの問いに対し「非常に近い」と語った。

【私見】
 プーチン大統領が、グルジアからの独立を目指すアブハジア自治共和国と南オセチア自治州に対する協力を強めるよう政府に指示した事案。ロシア軍の関与が強く疑われるアブハジア自治共和国内での偵察機撃墜事件。ロシアが平和維持軍としてのロシア部隊を、アブハジア自治共和国に増派した事案。

 ロシア側の強硬姿勢の裏には、各種報道で言われているように、ロシアの「勢力圏」を欧米が浸食されていく危機感が表れているのかな?!例えば、先日コソボ自治州が独立を宣言し、欧米(含む日本)は一方的にこれを承認した。セルビアは旧ユーゴ時代からロシアと密接な繋がりを持っていた国のはず。
 資源価格高騰を背景に国力をつけ、国際的発言力を増したにもかかわらず、旧ソ連諸国のロシア離れはとまらない。ウクライナだってそう。それに対して欧米諸国が後押しするものだから、余計にロシアの焦燥感を刺激するんだろう。
 
 グルジアは北大西洋条約機構(NATO)加盟に積極的で、これにNATO諸国も支援している。ロシア側にすれば、グルジアが「勢力圏」を離れることは勿論、両自治区にロシア系住民が住んでいて、セルビア同様民族問題を抱えているのに、コソボ独立を容認したはずの欧米諸国はこの問題を顧みずグルジアの「仲間入り」を進め手いる。このことにロシアが腹立たしく感じるのは理解できる。だって独立を支持した欧米諸国のいう論理ならば、両自治区は独立しても構わないからだ。
 
 でも、勢力圏の考えをもとにすれば、ロシアは本来、グルジアそのものをロシア圏に戻したいと考えているんじゃないかな。でも、現在のサーカシビリ政権のロシア離れは彼の公約を見ても明白だから事態は簡単には好転しない。だから、ロシアが両自治区の独立支援をちらつかせることで、何とか事態の打開を考えているのだろう。この問題については、ロシアは単純にグルジアだけを念頭に行動しているわけじゃないだろうな。


 ただ外交というのは相手の出方次第だし、メドヴェージェフ=プーチン双頭体制になってどうかわるかは分からない。最近ロシア大統領府と仲が良くないって言われる軍が何か、しでかすかもしれない。
 「5月21日のグルジア議会選挙に向け、サーカシビリ政権が「領土保全」の訴えを強め、ロシアを刺激する可能性が高い[毎日新聞 2008年4月27日]」(1)なんて言われているし、ロシア外務省のケニャイキン独立国家共同体(CIS)問題担当特使は25日、「グルジアが軍事作戦を近く開始する可能性を否定できない」と指摘。「攻撃があった場合、同胞(アブハジア住民)を守るために武力で対抗せざるを得ない」と警告した[モスクワ25日AFP=時事](2)て言うし、そんな具合にどんどん双方の発言がエスカレートしていることも気になるところ。


(1) http://mainichi.jp/select/world/news/20080427k0000m030114000c.html
(2) http://friends.excite.co.jp/News/world/20080427021800/20080427M30.114.html
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# by nekra | 2008-05-07 11:32 | ロシアと近隣諸国